レチノール、流行っていますね。
「毛穴が消えた!」
「シワがなくなった!」
という良い声も聞けば、
「ビニール肌になる」
「肌が肥厚化する」
といった怖いうわさも耳にします。
実際、皮膚科医の先生が言うには、
「使い方次第では、肌が病的に変化してしまうこともある」とのこと。
みなさんはレチノールを正しく使いこなせていると言えるでしょうか?
私は正直、「みんな使ってるし、実際肌がきれいになるからいいかな~」くらいに思っていました。
しかし、以下のツイートを見て、改めてレチノールについてよく知ろうと思ったのです。
レチノールを常用するプロはいないとのこと。
本当はレチノールは使わないほうがいいのか?
私の出した結論は「それでもレチノール化粧品を使う」です。
そう結論づけた理由を以下に書いていきます。
レチノールの良し悪しを判断するには根本からの理解が必要だと思うので、少し長いですがお付き合いください。
レチノールとは?
レチノールとは、ビタミンAの一種です。
ビタミンAには紫外線によってダメージを受けた肌を正常に整え、健康で美しい肌を保つ働きがあります。
実際、レチノールを用いての美肌効果などの作用はこれまで様々な文献で認められています。
☆レチノールには6つの種類があります。
- パルミチン酸レチノール
- プロピオキン酸レチノール
- 酢酸レチノール
- レチノール
- レチナール
- レチノイン酸(トレチノイン)
自分が使っているレチノールがどれか、把握していますか?
基本的に↑のリストの下に行くほど効果が高いと言われていますが、化粧品の多くは上3つしか入っていません。
図で表すとこんな感じです。
左3つは比較的安全性が高いので誰でも買える化粧品に、
右3つは使い方に注意が必要なので医薬品になっていることが多いです。
レチノイン酸は刺激が強すぎるので医薬品でしか扱えないことになっています。
化粧品としては売っていないということですね。
6種類を3つずつに分けて「守りのビタミンA」「攻めのビタミンA」などと呼ぶこともあります。
普段使いの化粧品は、左3つであれば刺激が少なく比較的安全と言われています。
自分の使っている化粧品は安全なのか?
- パルミチン酸レチノール
- プロピオキン酸レチノール
- 酢酸レチノール
→3つをまとめて「レチニルエステル」
上記3つの安全性が高いということはすでにお話ししました。
この3つをまとめて「レチニルエステル」(ビタミンA誘導体)と呼びます。
この3つは図の左から4番目の「レチノール」を安定化し、浸透を上げるためにほかの成分を結合させたものです。
そうすることで安全性を高めているのですね。
この3つに大きな差はありません。
上記成分が含まれている安全性の高い化粧品のうち、代表的なものをいくつかご紹介します。
〇アクアレーベル バウンシングケア ローション
成分
https://www.shiseido.co.jp/sw/c/products/SWFG070410.seam?shohin_pl_c_cd=E42202&online_shohin_ctlg_kbn=1
トラネキサム酸*,精製水,ジプロピレングリコール,濃グリセリン,エタノール,ポリエチレングリコール1500,ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル,1,3-ブチレングリコール,ジグリセリン,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル,ヒドロキシエチルセルロース,クエン酸ナトリウム,クエン酸,エデト酸二ナトリウム,ローヤルゼリー発酵液,ピロ亜硫酸ナトリウム,D-グルタミン酸,DL-アラニン,アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム,ヒアルロン酸ナトリウム(2),パルミチン酸レチノール,トウモロコシ油,DL-メチオニン,水溶性コラーゲン(F),フェノキシエタノール,パラオキシ安息香酸エステル,香料 *は「有効成分」無表示は「その他の成分」
〇エンビロン モイスチャークリーム 1・2・3・4
<モイスチャークリーム1> 水,グリセリン,安息香酸アルキル(C12-15),ポリソルベート40,トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,PG,シア脂,セテアリルアルコール,パルミトイルプロリンNa,パンテノール,ニンファエアアルバ花エキス,BG,ステアリン酸グリセリル,ステアリン酸PEG-40,セテアレス-20,ジメチコン,水酸化Na,ステアリン酸,テトラヘキシルデカン酸アスコルビル,リノール酸,リノレン酸,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,キサンタンガム,アスコルビン酸,BHT,トコフェロール,ヒマワリ種子油,ローズマリー葉エキス,没食子酸エピガロカテキン,EDTA-2Na,パルミチン酸レチノール,アスパラサスリネアリス葉/茎エキス,シクロピアインテルメジア葉/茎エキス,シクロピアスブテルナタ葉/茎エキス,シクロピアマクラタ葉/茎エキス
https://environ.jp/product/moisture/moisture_cream/
以上2つには刺激の少ない「レチニルエステル」のみが配合されており、安全性が高いといえます。
使用に注意が必要な化粧品
もう一度最初のツイートを見てみましょう。
中段に書いてある「ピュアレチノール」とは、他の成分が混ざっていない「レチノール」だと考えられます。
※筆者の解釈ですので、ツイートされた方の意図とは異なる可能性があります。
さっきの図で言うと左から4番目です。
「ピュアレチノール=④レチノール」については、ネットで調べても同じような記載があります。↓
「ピュアレチノール」という名前は、レチノールのことを資生堂が独自に名付けた名称です。
http://www.mizuguchi-clinic.jp/product/2021/11/01/%E7%9A%86%E6%A7%98%E3%81%AE%E3%81%94%E4%BD%BF%E7%94%A8%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%A7%E6%B0%97%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E2%91%A1%EF%BC%8A%E3%83%AC%E3%83%81%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB/
「レチノール群」の中の「レチノール」を言葉上わかりやすくするために、私もレチノールをピュアレチノールと表現することがあります
ちなみに「純粋」=英語で「ピュア」なので、「純粋レチノール」も同じものを指します。
レチノール=ピュアレチノール=純粋レチノール
すると、刺激の強い「④レチノール」が配合された化粧品を長期間使うのは好ましくないということになります。
しかし、以下の化粧品は、全成分を見ると刺激の強い「④レチノール」が含まれています。
〇レチノール シカ リペア セラム
水、グリセリン、BG、アジピン酸ジブチル、ナイアシンアミド、1,2-ヘキサンジオール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、アシアチコシド、マデカシン酸、アシアチン酸、レチノール、アデノシン、ニンジン根エキス、チャ実エキス、ダイズ油、コレステロール、アラントイン、エチルヘキシルグリセリン、グリチルレチン酸ステアリル、ヒアルロン酸、β-グルカン、β-カロチン、フィトスフィンゴシン、アセチルテトラペプチド-11、マンニトール、ヒマワリ種子油、セラミドNP、サリチル酸、プロパンジオール、水添レシチン、ステアロイルメチルタウリンNa、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、トコフェロール、酢酸トコフェロール、BHT
https://www.innisfree.jp/product/retinol-cica-repair-ampoule/detail/1687?optno=1523
多くの方に選ばれており、一番人気と言っても過言ではないイニスフリーですが、使い続けた場合の肌への影響は良いとは限らないと思われます。
〇レダミック R アイクリーム(ラロッシュポゼ)
水, ステアリン酸イソセチル, グリセリン, オクチルドデカノール, ペンチレングリコール, ジメチコン, PG, セテアリルアルコール, オレイン酸ソルビタン, ダイズ油, (ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー, カフェイン, イソヘキサデカン, ヒアルロン酸Na, ポリアクリル酸Na, レチノール, アデノシン, ポロキサマー338, ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム, カプリリルグリコール, カラギーナン, クエン酸, キサンタンガム, ポリソルベート80, (アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー, BHT, パルミチン酸レチノール, トコフェロール, フェノキシエタノール
https://www.laroche-posay.jp/product/skincare/eyecream/redermic-r-eye-cream/LRPJP-RED-001.html
この化粧品は「敏感肌用」を謳っていますが、刺激が強いレチノールが入っています。
〇エリクシール シュペリエルエンリッチド リンクルクリーム
レチノール*,酢酸DL-α-トコフェロール*,水溶性コラーゲン(F),濃グリセリン,精製水,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット,1,3-ブチレングリコール,ジプロピレングリコール,エタノール,メドウフォーム油,ポリエチレングリコール1000,メチルポリシロキサン,アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80,ポリプロピレングリコール,ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油,トリイソステアリン酸グリセリル,ベヘニルアルコール,ヒドロキシエチルセルロース,ポリビニルアルコール,ステアリルアルコール,モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.),ジブチルヒドロキシトルエン,エデト酸三ナトリウム,ピロ亜硫酸ナトリウム,アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム,酵母エキス(3),マリンエラスチン,クララエキス(1),フェノキシエタノール,香料,β-カロチン *は「有効成分」無表示は「その他の成分」
https://www.shiseido.co.jp/elixir/sw/c/products/SWFD070020.seam?shohin_pl_c_cd=782701
資生堂のエリクシールシリーズは「純粋レチノール」という言葉を使用しているので、当然「④レチノール」が含まれています。
〇キールズ DS RTN リニューイング セラム
水、グリセリン、BG、ペンチレングリコール、ナイアシンアミド、セタノール、イソヘキサデカン、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジイソプロピル、オレアミドオクタデカンジオール、4-t-ブチルシクロヘキサノール、アセチルジペプチド-1セチル、アデノシン、セラミドNP、ヒドロキシパルミトイルスフィンガニン、ラウロイルリシン、オクチルドデカノール、テトラ(ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイヒ酸)ペンタエリスリチル、塩化Na、ヒアルロン酸Na、水酸化Na、エチレンジアミンジコハク酸3Na、レチノール、トコフェロール、ジカプリリルエーテル、ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム、ベヘニルアルコール、カプリリルグリコール、カルボマー、セテアリルアルコール、セテアリルグルコシド、ダイズ油、ヒマワリ種子油、ヒドロキシエチルセルロース、レシチン、フェネチルアルコール、ポロキサマー188、ポリカプロラクトン、ラウリン酸ソルビタン、ステアレス-100、β-カロチン、クロルフェネシン、フェノキシエタノール
https://www.kiehls.jp/skincare/face-product/face-serums/retinol-skin-renewing-daily-micro-dose-serum/WW0124KIE.html
〇なめらか本舗 リンクルナイトクリーム
水、 BG、 グリセリン、 スクワラン、 ミリスチン酸オクチルドデシル、 バチルアルコール、 ジメチコン、 水添パーム核油、 ステアリン酸、 ジステアリン酸ポリグリセリル-10、 ステアリン酸グリセリル、 テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、 ベヘニルアルコール、 豆乳発酵液、 ダイズ種子エキス、 ダイズタンパク、 レチノール、 ダイズイソフラボン、 パルミチン酸レチノール、 セラミドNG、 PEG-60水添ヒマシ油、 アルギニン、 エタノール、 カルボマー、 カンゾウ根エキス、 キサンタンガム、 シクロデキストリン、 シクロペンタシロキサン、 セラミドAP、 セラミドNP、 ダイズステロール、 トコフェロール、 パーム核油、 パーム油、 ポリソルベート20、 ポリソルベート80、 ミリスチン酸ポリグリセリル-10、 ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、 レシチン、 水添レシチン、 メチルパラベン
https://noevirgroup.jp/sana/g/g48578/
多くの有名な商品にもピュアレチノールが含まれていることが分かります。
ピュアレチノールは危険な可能性がある
「これだけ多くの化粧品に「④レチノール(ピュアレチノール)」が使われているのだから、使っても問題ないんじゃないの?」
と私は思いましたが、そうとも言い切れなさそうです。
化粧品メーカーが、商品が良く売れるようにより短期間で効果が出やすい「④レチノール」を多く配合する競争をしていたとしたらどうでしょうか?
長期的に見た安全性は二の次になっていてもおかしくないですよね。
シワが目立たなくなる作用の危険性
ピュアレチノールは危険という話の続きです。
なぜレチノールでシワが目立たなくなるかというと、レチノールが「表皮を厚くする」という作用を持っているから。
肌が厚くなる=丈夫になるかのようなイメージがありますが、医学的には良い作用だとは言えないようです。
肌再生の専門家のサイトには以下の記述があります。
レチノールの持つ表皮を厚くするという作用。一般的に表皮を厚くすると聞くと、それは良い変化だと考える人が多いです。
https://cellbank.co.jp/general/regenerative_skin_treatment/beauty_knowledge/letinol_cosmetics/
しかし医者の視点から見れば少し違います。医者にとっては表皮が厚くなるというのはすごく嫌な印象を持つのです。
それはなぜか。基本的に表皮が厚くなることは生体にとっては悪い変化であり、錯角化や過角化、乾癬のような異常角化を連想します。
「錯覚化、過角化、乾癬(かんせん)」
驚く方もいらっしゃるかもしれないので、ここでは画像を貼るのは控えます。
画像を検索していただくとこれらの症状がいかに病的な見た目かが理解いただけると思います。
レチノールを誤った使用法で使うと、上記のような変化が起こってもおかしくありません。
レチノールでビニール肌になる?
「レチノールでビニール肌になる」というのもTwitterでときどき耳にしますね。
そもそもビニール肌とは、↓
“ビニール肌”とは角層が薄くなってしまった状態。
https://maison.kose.co.jp/article/drphil/g/g-phil-beauty-column-20211116/
医学用語ではなく、美容業界で使われている言葉です。
とのことですが、実際ビニール肌になることもあるようです。
これは先ほど記載した「表皮が厚くなる」の反動で起こります。
人間には人体に異常が起こったら元に戻ろうとする恒常性(ホメオスタシス)という性質があり、それによって反動が引き起こされるということです。
表皮が厚くなること、ビニール肌になることを防ぐには以下の方法が有効です。
レチノールを使うなら、成分を見極めると良い
私の考えですが、「④レチノール」が入った商品より、「レチニルエステル」のみが入った商品の方が安心かと思います。
確かに、④レチノールより「レチニルエステル」のほうが効果は弱まりますが、長期間継続すると効果は確実に表れます。
先ほどの肌再生の専門家サイトの続きです。
レチノイドのうちパルミチン酸レチノールや酢酸レチノールなどのレチニルエステルと呼ばれるものは安定性が高く、肌への刺激が少ないため、多くの基礎化粧品に使われています。
https://cellbank.co.jp/general/regenerative_skin_treatment/beauty_knowledge/letinol_cosmetics/
(中略)
化粧水やクリームに配合されたパルミチン酸レチノールを毎日肌に塗ることで、表皮の角質層でのレチノールの濃度が上がり、レチノール自体の紫外線ブロック効果により肌自体を紫外線に強くさせるというのが基礎化粧品に配合されたレチノールのもう一つの役割と考えられています。
医薬品のように短期間で肌を劇的に変化させることはできないけど、紫外線による光老化を遅くする働きがあるということ。
「レチノール貯金」と言われているやつですね。
ただ、④レチノールを使うことを否定するつもりはありません。
④レチノールと「レチニルエステル」の違いをしっかり把握して、納得した上で商品を選んでいただければと思います。
最後に:筆者が使うことにした化粧品
私は今まで口コミ件数が一番多いという理由で「イニスフリー」を使っていましたが、
先ほど紹介したアクアレーベル バウンシングケア ローションにすることにしました。
一番の理由は安全性が高い「パルミチン酸レチノール」が含まれていること。
それ以外には
- ヒアルロン酸・トラネキサム酸が入っておりハリ・シワに効果がある
- 値段が手ごろ
- 薬局で買える(レチノールは通販だと偽物リスクが高い)
- レチノールに強いと言われている「資生堂」の商品
このような理由になります。
資生堂がレチノールに強いとは↓
アクアレーベルシリーズは、資生堂のプチプラ商品に当てはまるのでお得と言えます。
みなさんも将来的に後悔のない選択をして、一緒にきれいになれるように頑張りましょう!
複雑にならないように省略した説明もあるので、分かりにくいところ等があればTwitterかブログのお問い合わせフォームからお問い合わせいただければと思います。
それでは!
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